2009年 07月 06日
サムライ パンツ |
昭和30年(1955年)頃は、本部道場の稽古でも15名来ると二代道主植芝吉祥丸先生が今日は稽古人が多いといっていた時代です。昇段・昇級審査など無く1月15日の鏡開きの日に、昇段者名が発表されるだけでした。私も入門して二年目ぐらいで初段を印可され袴を買いました。剣道の袴です。当時稽古する人が少ない合気道専用の袴などありませんでした。背中の腰板は中がボール紙や布、またはゴムだったりして、メーカーによってまちまちでした。腰板の所に瓢箪形の帯に固定する物が付いていた事を記憶しています。
剣道の袴は合気道の動きや捌きに対応していません。稽古をしていると膝が直ぐ破れたり、脇のまちが直ぐにほころびます。剣道では袴を腰に強く固定する必要が有りません。前後のひもも短く結び目が後に来ます。合気道では投げ、抑え、それ以上に座技がありますので、ずれないように腰にしっかり固定する必要があります。特に紐の結び目が背中にあると、何回も受け身を取ると打ち身になり炎症を起こしてします。合気道の稽古では剣道の袴だと色々不具合が出て、我々合気道の内弟子達は不満を持ちました。
当時から本部道場の道着や袴を一手に扱っていた新大久保にある岩田屋の女将さんと相談しながら、袴のひもは前が・・cm、後は・・cm 紐の幅は・・cmそして紐にねじれが出ないように縫い目を何本いれてくれなど試作品をつくってもらい改良していきました。当時はレイヨン、テトロンなどは夢の繊維で、値段が高くて現在の様に袴などの布にはされません。みんな木綿です。ごわごわしていて洗いでもしたら折り目を付けるのがたいへんでした。特に紺の袴は藍染めですので汗でもかけば手や稽古衣まで青く染まりました。 その内にテトロン入りの混紡の袴が出てきて、たたむのや洗濯が楽になりました。しかし値段は2倍か3倍位していました。
かなり前の話ですが、明大体育会合気道部員の2年生までの男子白帯部員に、何分で袴を付けられるか計った事がありました。女子部部員は入部と同時に袴を着けますので問題はありません。しかし男子部員は入部当初から先輩の袴をたたむ事は「イヤッて言うほど」指導をうけます。しかし初段になるまで袴は着けません。突然着けてみろと言われ、また時計で時間を計られたのでパニックになったのでしょう。片方の裾に両足を入れたり、袴の紐の結び方など全然分からずオロオロするばかりです。15名以上いた男子部員で正確に着けた人は一人もいなくて驚いた事がありました。その事があって以来、合気道小林道場では袴に慣れさせるために、茶帯になると先輩や先生の袴を稽古終了後にたたむ様に指導し、初段受験前に袴のはき方を先輩から教わるようにしています。
袴の付け方、たたみ方は色々なかたちがあります。どれが正しいか私にはよく分かりません。袴をはくときにずれたり、乱れたりしなければそれで良しとしています。たたむ時はかたちや折り目がビシットとしていて見た目が綺麗でカバンなど持ち運びに適応しれば良いと私は思います。
袴もこまめに洗濯して下さい。袴を着けて以来洗濯したことが無いなど自慢しないで下さい。・・・清潔が大切です。
by shihan_aikido
| 2009-07-06 12:00