「中華民国100年青年盃合気道演武大会」と「有難う台湾」 |
今年は中華民国100年の節目の年です。合気道小林道場が台湾の合気道と交流しだしたのは昭和51年(1976年)です。台湾では建国年である1912年を元年とする中華民国歴を西暦と併用しています。小林道場との交流は中華民国歴64年からです。今年の演武会プログラムに100年演武大会と書いてありますので36年の付き合いに成ります。
私は毎年この演武会に参加していますが、毎年参加団体が増え続け、台湾での合気道が発展しているのを実感しています。演武会の準備や段取りも慣れてきて50以上の団体、800名近い参加者を一団体2分間の演武時間で2時間で終了します。演武会が終わると直ぐに私の特別講習会が一時間行われました。参加者は事前に希望者を募っていたみたいで演武会終了直後に整列していました。この手早い段取りは初めてです。大会運営も若い人達が関与する様になり良くなっています。講習会参加者は白帯から4段以上の人達約200名です。全員汗だくになりながら、基本技でも普段稽古している技を別な角度から指導しました。
台湾名物の宴会も最近様変わりです。30年以上前の宴会は2次会、3次会は当たり前、何時も午前様でした。現在は役員も2代目、3代目となり日本語も話す人が少なくなりお互いに片言の英語で会話する時代になりました。カラオケで演歌は歌いますが宴会も非常に健全なりました。
話は変わりますが、この度の東日本大震災に対しては日本国内ばかりでなく、海外各国からも義援金が集まってきています。特に台湾からの義援金は世界一で145億円(4月20日現在)を超えているそうです。アメリカからの義援金は約100億円です。いかに台湾の人々が日本の事に関心を持ち、隣人意識が有るかの現れだと思います。
台北での演武会の折、隣に座られた中華民国合気道協進会元会長の薛鳳枝氏(台湾財界のトップクラスの方)から聞いた話ですが、台湾からの義援金は9割以上が民間からのものだったそうです。
また、驚いたことに日本は台湾に対して恩を仇で返すような事をしているのです。日本政府は4月11日に世界7カ国の新聞に東日本大震災に対する義援金や援助に対して新聞に感謝の広告を掲載しました。米国、英国、フランス、中国、ロシア、韓国の新聞と国際英字新聞「ヘラルド、トリビューン」にです。しかし日本政府は145億円の義援金を日本に提供した台湾を外しました。台湾とは国交が無いという理由からです。その代わり日本政府は広告と同様の感謝の意を表す管直人首相の書簡を日本の対台湾窓口機関「交流協会」を通じて馬英九総統と外交部長に送ったといいます。こんな事でお茶を濁すとは、本当に信じられません。
これに対する外務省の説明は「義援金の額ではなく、近隣諸国への影響を考慮して決めた」だそうです。明らかに中国を意識した政治的配慮です。話を聞いていて恥ずかしくなりました。
この一件は、とある日本女性の思いつきで解決したそうです。今回宿泊したホテルに置いてあった「なーるほど・ザ・台湾」という日本語のフリーペーパーに記事が載っていました。その記事によりますとグラフイックデザイナーの木坂麻衣子さんという方が、日本政府が掲載しないなら、自分たちで台湾の新聞にお礼を掲載したらと考えたのです。そこで、ツイッターやブログで「謝謝台湾計画」と名付けて一口、1,000円で広告費の支援を求めました。多くの方の賛同をえて一千万円近くが集まり、台湾の代表的な2紙に無事広告が掲載され、余ったお金は被災地の義援金に寄付したそうです。日本人の気持は遅ればせながら台湾の人たちに充分伝わったと思います。日本ではあまり報道されておらず私も台湾で初めて知りました。
合気道小林道場と台湾はこれからも交流していきます。ぜひ誘い合って台湾の合気道との交流をお願いします。
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