2011年 08月 31日
トナカイは結構頭が良いです |
前回のブログでフィンランド・トゥルク市の20周年記念講習会の事を書きました。その時の稽古後、とある男性がシャワー室で私に話しかけてきました。「先生、私の事憶えていますか、10年振りです。」私は憶えていましたので答えました。「北極圏のサンタクロースの町、ロバニエミの合気道の責任者、ペッテリさんだよな」。「先生よく私の名前まで憶えていてくれて有難う御座います。先生は一人でトナカイと一緒に森の中をさまよいましたね。」「一生忘れるはずが無いよ。俺は暗い森の中で本当に凍死するかと思ったよ。」「トナカイは結構頭の良い動物で、教え込むと人の居る所に帰ってきます。実はあのトナカイは観光用に教育されたトナカイでした。先生を驚かそうと私達が計画しました。先生一人をトナカイの荷車に乗せ、暗い誰も居ない夜の森を歩いて頂いたのです。」との事でした。彼らは私を一人にする前にこの森には熊やオオカミが沢山いるとか、何日か前に旅行者が道に迷い凍死したとかさんざん脅されていましたので私にとって一生忘れる事の出来ない思い出の一つです。
写真:ラップランドでのサウナ後(1991年)
私はオーロラが見たくてイースター(毎年日にちが違いますが、だいたい3月中旬から4月の始め頃)の講習会のとき何度かラップランドまで行きました。が残念ながら見ることができませんでした。その話を聞いた一人が「私の道場は北極圏のサンタクロースの町、ロバニエミですので11月中頃なら見られます。是非来て下さい。歓迎します。」との言葉に甘えて時間を作り10年前に出掛けて行きました。到着すると「昨日まで−25度でしたが、今日から急に暖かくなり−5度です。先生の滞在中は残念ながらオーロラは見えません。時間が有りますので是非稽古指導をお願いします。」との事でした。オーロラは気温が低くならないと見られません。−5度は暖かいのです。稽古を終えてから歓迎会があり、その後前述したとおり森の中の一人旅になりました。
私は年何回か海外へ指導に行きます。昔はヨーロッパ各国を通過する度にその国の出入国の印がパスポートに捺されます。その印が増えるのが一つの楽しみになっていた面もあります。現在EUの国々の間でシェンゲン協定というものが結ばれ、その協定に加盟した国は国境を自由に行き来できるようになり、日本の県境と全く一緒の感覚で通行できます。日本から行く場合入国、出国の時に、最初の国の印が押されるだけになりました。
写真:左側がフィンランドのスタンプ
私は飛行機の中で暇にまかせてパスポートに押された印を眺めてみました。良く見てみるとページや場所はその国の入国係官の気分次第で適当な所に印します。パスポートを見ていて気がつきましたが、フィンランドの入出国係官はパスポートの最終ページにきちんと押しているのに気付きました。その様に教育されているのだと思います。他の国のハンコは適当で、ひどい時には重ねて押したり、逆さまや斜めに押したりています。最近フィンランドの教育は世界一だと聞いたことがありますが、こんな所にもフィンランド人の教育が行き届いているのではないかと思いました。
フィンラドには30年以上前から毎年行っています。行き始めた頃は、本当に貧しい国だと思いました。当時の日本は欧米に追いつき追い越せの時代です。経済が躍動していた時代だったので特にその様に感じたと思います。その頃は首都ヘルシンキの中心街でも、自動販売機や公衆電話はお金を盗む為に殆ど壊されていました。人々は働く意欲を欠き昼間でもアル中の人が結構多く徘徊しておりました。フインランド政府はビールにもⅠ、Ⅱ、Ⅲのアルコール分の濃さの違いで値段を高くし暗くて寒い冬に酒を飲む量を少しでも減らそうとしていました。日本と違いお酒は許可されたレストランか数少ない酒屋でしか買えない様にしていました。
1990年代初めフインランドは失業率20%を超える大不況に見舞われ追い詰められました。多くの人達が当時豊かな隣国スウェーデンに出稼ぎに行きました。スウェーデンではいわゆる「きつい」「汚い」「危険」な3Kの仕事はフィンランド人の仕事になっていました。この時にフィンランド政府は国の未来を切り開くのは教育だと気付いたそうです。大学までの教育費は一切無料にし、思い切った教育改革と投資をし、新たな産業を興しました。当時29歳の教育大臣、ヘイノネン氏が、日本の「旧教育基本法」を参考に教育を大きく変えたといいます。
1.親に孝養をつくしましょう(孝行)
2.兄弟・姉妹は仲良くしましょう(友愛)
3.夫婦はいつも仲むつまじくしましょう(夫婦の和)
4.友だちはお互いに信じあって付き合いましょう(朋友の信)
5.自分の言動をつつしみましょう(謙遜)
6.広く全ての人に愛の手をさしのべましょう(博愛)
7.勉学に励み職業を身につけましょう(修業習学)
8.知識を養い才能を伸ばしましょう(知能啓発)
9.人格の向上につとめましょう(徳器成就)
10.広く世の人々や社会のためになる仕事に励みましょう(公益世務)
11.法律や規則を守り社会の秩序に従いましょう(遵法)
12.正しい勇気をもって国のため真心を尽くしましょう(義勇)
国の方向を決めて行く指導者の資質が如何に大切か思い知らされます。国の規制を廃止し、現場の教師の自由裁量に任せたといいます。
教育改革を進めた結果、携帯電話機で有名なノキアなどの世界的な企業が育ち、国際競争力を持つ企業がいくつも育ちました。そして何年後にはフィンランドの学生達がOECDの学力到達度調査(PISA)で世界一と評価されるまでになりました。経済的にも現在ではスウェーデンよりも上になっています。
フインランドの教師は博士課程修了が条件で、最も人気の高い職業の一つであり、競争率は10倍との事です。如何に教育を大切にしているか知ることが出来ます。
日本も3月11日の東日本大震災と福島原発事故で日本人としての基本的な考え方が変わってきたといわれています。経済発展の優先の時代から人々の考えはお互いに困難の時には助け合い、寄り添い協力し合う考え方が出てきたといいます。次代を担う子供達に充分な人間としての教育し、学力については「誰かに勝つのではなく、順位を気にせず着実に伸ばす」を目標に学習意欲を得る様な教育設定をして欲しいです。来年から中高生には武道が必須課目になります。合気道もその一つです。合気道小林道場も積極的に協力して行きたいと思います。
その時には会員皆さまの協力をお願いします。

私はオーロラが見たくてイースター(毎年日にちが違いますが、だいたい3月中旬から4月の始め頃)の講習会のとき何度かラップランドまで行きました。が残念ながら見ることができませんでした。その話を聞いた一人が「私の道場は北極圏のサンタクロースの町、ロバニエミですので11月中頃なら見られます。是非来て下さい。歓迎します。」との言葉に甘えて時間を作り10年前に出掛けて行きました。到着すると「昨日まで−25度でしたが、今日から急に暖かくなり−5度です。先生の滞在中は残念ながらオーロラは見えません。時間が有りますので是非稽古指導をお願いします。」との事でした。オーロラは気温が低くならないと見られません。−5度は暖かいのです。稽古を終えてから歓迎会があり、その後前述したとおり森の中の一人旅になりました。
私は年何回か海外へ指導に行きます。昔はヨーロッパ各国を通過する度にその国の出入国の印がパスポートに捺されます。その印が増えるのが一つの楽しみになっていた面もあります。現在EUの国々の間でシェンゲン協定というものが結ばれ、その協定に加盟した国は国境を自由に行き来できるようになり、日本の県境と全く一緒の感覚で通行できます。日本から行く場合入国、出国の時に、最初の国の印が押されるだけになりました。

私は飛行機の中で暇にまかせてパスポートに押された印を眺めてみました。良く見てみるとページや場所はその国の入国係官の気分次第で適当な所に印します。パスポートを見ていて気がつきましたが、フィンランドの入出国係官はパスポートの最終ページにきちんと押しているのに気付きました。その様に教育されているのだと思います。他の国のハンコは適当で、ひどい時には重ねて押したり、逆さまや斜めに押したりています。最近フィンランドの教育は世界一だと聞いたことがありますが、こんな所にもフィンランド人の教育が行き届いているのではないかと思いました。
フィンラドには30年以上前から毎年行っています。行き始めた頃は、本当に貧しい国だと思いました。当時の日本は欧米に追いつき追い越せの時代です。経済が躍動していた時代だったので特にその様に感じたと思います。その頃は首都ヘルシンキの中心街でも、自動販売機や公衆電話はお金を盗む為に殆ど壊されていました。人々は働く意欲を欠き昼間でもアル中の人が結構多く徘徊しておりました。フインランド政府はビールにもⅠ、Ⅱ、Ⅲのアルコール分の濃さの違いで値段を高くし暗くて寒い冬に酒を飲む量を少しでも減らそうとしていました。日本と違いお酒は許可されたレストランか数少ない酒屋でしか買えない様にしていました。
1990年代初めフインランドは失業率20%を超える大不況に見舞われ追い詰められました。多くの人達が当時豊かな隣国スウェーデンに出稼ぎに行きました。スウェーデンではいわゆる「きつい」「汚い」「危険」な3Kの仕事はフィンランド人の仕事になっていました。この時にフィンランド政府は国の未来を切り開くのは教育だと気付いたそうです。大学までの教育費は一切無料にし、思い切った教育改革と投資をし、新たな産業を興しました。当時29歳の教育大臣、ヘイノネン氏が、日本の「旧教育基本法」を参考に教育を大きく変えたといいます。
1.親に孝養をつくしましょう(孝行)
2.兄弟・姉妹は仲良くしましょう(友愛)
3.夫婦はいつも仲むつまじくしましょう(夫婦の和)
4.友だちはお互いに信じあって付き合いましょう(朋友の信)
5.自分の言動をつつしみましょう(謙遜)
6.広く全ての人に愛の手をさしのべましょう(博愛)
7.勉学に励み職業を身につけましょう(修業習学)
8.知識を養い才能を伸ばしましょう(知能啓発)
9.人格の向上につとめましょう(徳器成就)
10.広く世の人々や社会のためになる仕事に励みましょう(公益世務)
11.法律や規則を守り社会の秩序に従いましょう(遵法)
12.正しい勇気をもって国のため真心を尽くしましょう(義勇)
国の方向を決めて行く指導者の資質が如何に大切か思い知らされます。国の規制を廃止し、現場の教師の自由裁量に任せたといいます。
教育改革を進めた結果、携帯電話機で有名なノキアなどの世界的な企業が育ち、国際競争力を持つ企業がいくつも育ちました。そして何年後にはフィンランドの学生達がOECDの学力到達度調査(PISA)で世界一と評価されるまでになりました。経済的にも現在ではスウェーデンよりも上になっています。
フインランドの教師は博士課程修了が条件で、最も人気の高い職業の一つであり、競争率は10倍との事です。如何に教育を大切にしているか知ることが出来ます。
日本も3月11日の東日本大震災と福島原発事故で日本人としての基本的な考え方が変わってきたといわれています。経済発展の優先の時代から人々の考えはお互いに困難の時には助け合い、寄り添い協力し合う考え方が出てきたといいます。次代を担う子供達に充分な人間としての教育し、学力については「誰かに勝つのではなく、順位を気にせず着実に伸ばす」を目標に学習意欲を得る様な教育設定をして欲しいです。来年から中高生には武道が必須課目になります。合気道もその一つです。合気道小林道場も積極的に協力して行きたいと思います。
その時には会員皆さまの協力をお願いします。
by shihan_aikido
| 2011-08-31 11:27