イランでの合気道 |

4年ぐらい前に人の良いイラン人が所沢道場に入門してきました。鉄骨組み立ての仕事をしながら熱心に稽古に来ており、誰にでも話しかけ憎めない人柄で道場の皆に好かれていました。35才は過ぎていたと思います。道場の行事には仕事が休みを取れれば必ず参加してくれました。
イランではレスリングのチャンピオンだったと自分で言っていました。確かにがっしりした体格で力も非常に強かったです。合気道が大好きで是非イランに帰国したとき道場を開いて先生を呼びたいと言っていました。
彼は日本に長くいるようでしたが、ビザの話をすると言葉を濁します。多分不法滞在だったのでしょう。イスラムですので飲み会の席でも酒は飲まず、品行方正でした。3年ぐらい前、不法滞在者でもある期間に帰国すれば日本政府が罪を問わないと言う事で彼も帰国する決意をしました。

愛すべき性格でしたのでサヨナラパーテイを開いてあげました。彼はお礼として私に贈る記念にと合気道開祖植芝盛平翁先生の肖像をペルシャ絨毯の様に織った布を贈ってくれました。友達がイランでこの様な商売をしているそうです。(写真参照)
イランには15年以上まえから合気道小林道場の関連の道場があります。合気道小林道場の直轄、傘下で稽古したイラン人達が帰国し稽古を続け合気道の大きな組織ができています。その組織の責任者や所沢道場で稽古していた人から年に2、3度電話が来て、「寂しいよ、小林先生教えに来て下さい」と言ってきます。
今年も1月末に掛かって来ました。私は「イランはイスラム教なので酒の飲めない国は行けない」といつも断っています。「先生大丈夫、裏があるよ」などと言われますが、酒を飲んで捕まりムチウチの刑にでもなったらイヤですのでいまだに行った事はありません。
「来年2008年は合気道小林道場の開設40年なので10月に祝賀合宿と植芝盛平翁先生の生誕地和歌山田辺を尋ねるツアーを行うから来なさい」と言っておきました。彼は生徒を連れて是非参加したいと言っていました。
イランに合気道小林道場から誰も指導に行かない訳ではありません。年に一度は堀越師範、石垣師範が別々の組織に指導に行っています。最近一番大きな組織が本部道場の認可団体として認められたと連絡がありました。また、日本の機動隊の様な組織にも合気道が取り入れられ指導行くようになったとの連絡もありました。イランでも合気道が確実に発展しているのがうかがえます。
合気道小林道場のモットー「一人でも多くの人に合気道を」の環が広がっています。皆さんもしっかり稽古して下さい。